コロナ感染後の嗅覚障害で全ての匂いが焼きサンマになった話

ドイツな日常

嗅覚障害は突然に

症状の経過ですが、まずコロナに感染して4日後くらいから匂いが感じにくくなったんです。でもまぁ当時は鼻も常時詰まってましたし、鼻水も止めどなかったので正確な判断が出来ず。(それよりも呼吸のしにくさの方が大変でした)

でも一週間が過ぎた辺りで、鼻詰まりもだいぶ収まってきた頃にみかんを食べてみたんですね。そしたら、全く味がしない。甘酸っぱさは普通に分かるけれど、風味が全くない。ゼロ。風味だけに言及するなら水を口に含んだかのよう。

「ああ…これか…」巷で言われていた嗅覚障害がついにきてしまったのだなと、ちょっとショック。食べ物の味がわからないって結構落ち込むんだなって思いました。

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でもニュースなんかでは「嗅覚は体の回復と共に戻ることが多い」とも言われてましたので、なんとか気にしないように日々を過ごしていたんです。

そしてやってきた強烈な「焼きサンマ」臭

コロナによる嗅覚障害の経過①

感染から半年ほど過ぎた頃でしょうか…ふとベランダに出てみた時に焼きサンマの焦げたような匂いがしました。

私が住んでいるのはドイツですから、サンマを焼く人なんて人口の1%もいないんですね。「誰かがなんか燃やしてんのかな?」そんなことを思いながら部屋に入りました。

でも、部屋の中も強烈な焼きサンマ臭が……

確認してみると、リビングもダイニングも寝室もバスルームもクローゼットの中まで焼きサンマの焦げた臭いがするんです。もし我が家で私の知らない間に焼きサンマ大会が開催されたんでないとすれば…

多分、臭いの原因は私の脳。そう、そんな臭いなんてないのに私だけがバグを起こしてその臭いを感じているという…

調べてみると、嗅覚が元に戻る過程でそういった異常が起こるそうなんですね。物の匂いがいつもと違かったり、異臭がしたりと…

でも異臭初日は「焼きサンマなんて何年も食べてないから、日本がちょっと懐かしいな〜」なんて少し喜んでみたり。「焼きサンマの匂いがあれば、それだけでご飯行けちゃうかもね!」なんて冗談すら飛ばす余裕がありました……

焼きサンマに囲まれた毎日がスタート

しかし翌朝には、そんなナイーブな考えは完全に間違えだと判明。

朝は強烈な焼きサンマの焦げた臭いに囲まれて起床。最悪の目覚めです。そして朝ごはんに大好きなプレーンヨーグルト。こちらもサンマを焼く焦げた煙の中で食べてるかのよう…。

お茶を入れても焦げた臭い。ご飯を食べても焦げ臭い。このヤロウ!とカレーを作って見たんですが、焼きサンマみたいな焦げた臭いがカレーにすら完全勝利。もう成す術がありません。

もちろん食事以外でも支障が出ます。常に焦げ臭い匂いが充満している感覚なので、「あれ、火事?」と何度も火の元を確認せずにはいられない。洗濯物も焦げた臭いがすので、洗ったかどうか臭いでは判断が微妙。お花の香りを嗅いでも、サンマ臭が圧勝。もちろん自分の体臭も焼きサンマ(に、感じます)。

そして焼きサンマに囲まれて就寝。夢にまでサンマが出てくる始末でした。

コロナによる嗅覚障害の経過②

嗅覚障害のその後

「ああ、私の人生はこれから焼きサンマと共にあるんだな…」

半ば自分の人生を諦めていたのも束の間。そんな幻の焼きサンマとの戦いも一ヶ月ほどで収まり、ようやく焦げた臭い溢れる毎日から解放されました。

しかし、感染して9ヶ月を過ぎた時点でも嗅覚障害はまだ完治していません。もう異臭はありませんが、全ての匂いが非常に弱く感じるようになってしまいました。一番辛いのは大好きなお茶の匂いがわからないこと。

私は日本に帰るとよく奈良に行ってほうじ茶を買います(柿の葉寿司の平宗で買ったほうじ茶がすごく美味しかったです。関西ってほうじ茶が美味しい)でも今は全くほうじ茶の香りがしなくなってしましいました。緑茶も同様。いやはや、本当に残念です。

ずっと美味しいお茶が楽しめなかったら悲しい。はやく治って欲しいなと思いながら、今日も香りのしないお茶を淹れるのでした。

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